とっても重要な『住宅の価格』のお話
弊社がホームビルダー(工務店)を始めた当時、日本の住宅価格はアメリカと比べて2倍であり、なぜそうなのか説明できないまま今日に至っている観がありますが、少なくとも家を建てられる方々にとって納得いく価格とはどういうものか、考えてみたいと思います。
住宅は多くの材料と多種の技能者が個別の現場で生産されると言う特殊性のため、自動車や家電製品等の工場生産商品と比べ比較検討をたやすくできない状況にありますが、家を建てられる方みずから時間をかけて一つ一つ調べていけば(例えば木材は材木屋を何軒か、塗装工事は塗装屋に直接見積依頼する)納得した金額で家造りができるかも知れません。工務店(や住宅メーカー)は、お客様に変わりこれらの多様な業者に対し専門家の立場から見積を上げ、相互関連性やモレ· 品質の程度を判断し、これらをまとめてお客様に見積書として提示する役割があります。すなわち見積書として明細項目が詳しければ詳しいほど納得しやすいのではないかと考えられます。
しかし実態は、大項目だけ(例えば本体工事と付帯工事· 別途工事+諸経費や本体材料費と工事代一式+諸経費等)や、追加変更工事に対応できる部分のみ明細項目(キッチンやユニットバス等の設備等)で提示するケースが大半であり、つまるところ坪単価いくらで表現されることが多いのです。 『契約なくして詳細なし』といわれ、手間のかかる積算や見積(実態価格の)は実施されていないのが実情と言えるでしょう。
極端なケースでいうと、おなじ坪数であれば内部の間仕切り壁が半分で、部屋数も半分でも同じ金額となり、そのしわ寄せは下請けの大工にいくか(やはり坪あたりいくらの請負)余裕があれば工務店の利益となっているのです。仕事量に見合った工事代とは言えないドンブリ勘定が大半なのです。
では、こういった見積書の書式の違いはどういう理由から発生するのでしょうか?価格分析の前に検討を加えたいと思います。
『住宅産業』や『住宅メーカー』というのは『自動車産業』や『家電メーカー』などと同じ意味合いが考えられます。すなわち『製品』を以て事業となす事であり、工場や大量生産、商品開発· 企画等が附随するのです。日本独自の住宅メーカー』は、この延長線上に『住宅』独特の『一品生産性』『個別現場生産=建築』を加えて『請負業』として営まれています。すなわち『建設業』の近代化の一つの結論なのでしょう。
一方、アメリカの住宅生産事情は『一つのシステム』の中で建築という『一品生産性』『個別現場生産=建築』の合理化· 生産性向上を果たした、という意味でもうひとつの近代化の帰結であるといえます。すなわち開発コスト· 一品生産のための 設計コスト· 施工管理システムの統一性· 現場生産活動の改善合理化(工具· 道具の開発を含め)· 技能者の生産性向上というアプローチなのです。
いずれにしろ、現場での生産性(施工システムと技能者の能力)が住宅価格に大きな影響をもっていることは重要であり、これを解明しない限り住宅価格の問題は解決されないと言えます。私達の輸入住宅では、できるかぎり『輸入建材』を利用することで『材工分離』の見積を心がけていますが、法規制上や生活習慣上、国内建材(例えば屋根材やユニットバス)を使用しなければならない場合、 『一式工事』となり価格低減追求が困難となる経験をしています。輸入住宅を通してできるかぎりオープンな業界となることを願っています。
住宅を構成する価格の三大要素として『建材費· 労務費· 諸経費』が挙げられます。そして小項目は普通、 単価×数量の計算値によって表示され、中項目· 大項目はこれらの合計によって表示されます。それぞれの項目は工事種別毎に分けられ、かつ材料費· 工事費(労務費+副資材費=クギ· ボンド等)に細分化されていることが理想的です。
こうした中で建材費(材料費)はその内容が比較· 判断しやすいのですが、労務費(工事費)は基準となる指数がなく一般の方々には判断のつきにくいところです。 特に『数量』が重要で、生産システムが最大限に効率化されたアメリカでは、この労務数量(すなわち労務生産性)が日本の1/2〜1/4である事はあまり語られていません(単価は逆に日本より2割ほど高いのです)。このことが日米住宅価格の乖離に大きく影響している最大の要因なのです。
すなわち現場施工の労働生産性をいかに改善していくか、ということが『輸入住宅』の最大のテーマとなるのです。
これは、体格の違い· 施工精度が悪い(すなわち粗い)· 日本人の方が勤勉などの誤解を正すだけでなく、合理的な生産システム· 生産性判断の指標· 技能者の教育· 習熟· 工事現場において、これらを実現させる現場管理者の教育等、ソフト面での素直な導入(輸入)が必要不可欠なのです。
最後に『諸経費』について、その考え方を明確にする必要があります。
これまで述べたてきたように、ホームビルダー(工務店)は、お客様にかわり、その専門性をもって見積をまとめ、工事を完成させるために必要な時期に建材と技能者を現場に集め、これらを管理しつつ、その成果としてそれぞれの工事ごとに品質をチェックし、安全かつ最大限に効率良く遂行することが業務となります。
アメリカでは一般的に『材工分離』『原価明記』の下でこの『諸経費』を25%とし、健全経営· 専門性の明確化が実施され、その結果として日本の住宅価格の1/2を実現しています。
日本における特殊性、すなわち敷地が狭い(これも相まって注文住宅が多い)ということを考慮しても、家を建てられる方にも、またそれに携わる私達ホームビルダー(工務店)にとっても理想的な状況を実現しているといえるのではないでしょうか。
あなた様の手元にある見積、詳細の内容まできちんと分かる内容になっていますか??





